« なぜ「19世紀半ば」であったのか:目次 | トップページ | 古代人の宗教について »

神智学の「再生」に関する考え方:メモ

☆人間の身体構造と界層

神智学では人間の身体は七層の多重構造になっており、その七つの身体観に対応して七つの界層が存在すると述べる(①―→⑦の順で精妙化していく)。

 

①.「肉体+エーテル体(注1)」

・物質界

・エーテル体とは半物質(中間物質)状の「幽質結合体」のこと。

②.「アストラル体」

・アストラル界

・人格の情緒や欲望のこと。アストラル界は死後最初に魂が行く場所であり、欲望、感情、感覚が働く世界のことを指している。

③.「低位メンタル体」

・低位メンタル界

・人格の知性の面を指す。思想、知性、認識が働く世界のこと。

④.「高位メンタル体(コーザル体)」

・高位メンタル界

・生まれ変わりの原因(コーザル:Causal)となる。この体は地上に再生する必要が無くなった時に消滅する(肉体を持つ必要がある間は存続し続ける)。

・神智学では①から④までを「低級四分界」とし、⑤から⑦までを「高級三分界」と区分している。「低級四分界」とそれに対応する「体」は再生不要になると消滅するという。

⑤.「ブッディ体」

・ブッディ界

・魂のこと(霊の心?)。ブディー意識に目覚めることが「ヨガの目的」であるという。

⑥.「アートマー体」

・アートマー界

・「至上我、普遍霊」のこととされている。

⑦.モナド体

・モナド界

・「大霊、宇宙意識、神の息」のこととされている(神の分霊のことか?)

 

人格(=パーソナリティ)とは

神智学では、“私たち(地上人生を歩んでいる人間)”が通常自己と思っているものを「人格=パーソナリティ」と呼び、再生を繰り返して進化していくものを“魂”と呼ぶ。したがってパーソナリティとは、魂が再生人生で使用する「器=服」のことになる。

地上に存在する“現在の私”とは「魂+パーソナリティA」のことであり、“来世の私”とは「魂+パーソナリティB」のことをいう(→今生と来世の違いは魂がまとう“服”の違いだけ)。「器=服」たるパーソナリティは一つの再生人生ごとに作られて、“死の過程”によって消滅していく。

 

再生人生で使用するパーソナリティは、「①物質体である肉体とエーテル体」+「②アストラル体」+「③低位メンタル体」の三重構造になっている(三つの身体で作られている)。

再生を繰り返して魂は進化していくが(⑤→⑦へ意識が進化する?)、この期間中は再生の原因となっている「④高位メンタル体(コーザル体)」は存続し続ける。

神智学では再生を通して人間は進化して「魂がモナドとのつながりを強めて神へと帰還していく」とし、人間の進化とは、「神への帰還のプロセス」のことを指すと述べている。

 

☆三重構造

パーソナリティは次の三つの身体を持つ(三重構造になっている)

①.物質体(肉体+エーテル体) →(例)コート

②.アストラル体(人格の情緒・欲望等の媒体) →(例)上着

③.低位メンタル体(具体的な知恵・思想・認識等の媒体) →(例)シャッツ

 

☆死の過程

魂は「①肉体+エーテル体+②アストラル体+③低位メンタル体」の“三つの身体(=パーソナリティ)”をまとって地上人生を送る。寿命が尽きると「①肉体」は土に還る。「①肉体」がなくなると、“活力=生命力”は「②アストラル体」を通して働くようになる(→アストラル体を通して自我意識を発揮する)。

人間は肉体が消滅した後、一定期間「②アストラル界」の中で生きることになるが、この界層において滞在する期間の長さや状態は、地上生活時の感情や想念のあり方によって決まる。この界層で滞在するうちに濃密なアストラル質料が徐々に薄れていく。

その後、人間は次の「③低位メンタル界」に進む。この界層での滞在が終えると、「③低位メンタル体」は分解されて、この段階で「パーソナリティの器(①肉体とエーテル体+②アストラル体+③低位メンタル体)」は完全に消滅する。そして人間(魂のこと?)は再生の動力源となっている「④コーザル体(高位メンタル体)」の中に入って行くという。

 

☆再生の仕組み

魂はパーソナリティを消滅させて、再生の動力源である「④コーザル体(高位メンタル体)」に移った後は、次の再生時まで完全な休息に入る。この休息の状態を神智学用語では「プララヤ」という。

なおパーソナリティ(①物質体である肉体とエーテル体、②アストラル体、③低位メンタル体)を持って顕現している時期を、神智学用語では「マンヴァンタラ」という。このように「顕現と休息」が交互に訪れるという。

 

その後「プララヤ」の状態で休息していた魂は、再生に向けて準備を始める。まず低位メンタル部分が活気を帯びてきて、磁力によって低位メンタル質料を引き寄せて「③低位メンタル体」を作る。次にアストラル部分が動き出してきて、アストラル質料を周りに引き寄せて「②アストラル体」を作る。その後エーテル質料を引き寄せて受肉の準備を整える。このようにして「人格(=パーソナリティ)の器」を作って、地上生活の開始を待つ。

その際に、いつ、どこに生まれるかは、「魂の進化のために最も適したところ」「カルマ」「愛や憎しみなどの特別に強いつながりのあるところ」「時代の要求」などの諸要素が考慮されるという。そして両親が選ばれて受胎によって「①肉体」を授かり、地上世界に誕生する。

 

☆神智学における再生の概略

神智学では「魂+パーソナリティA」は死によって、「①肉体+エーテル体」を分離する。そして「②アストラル界」に移行後、徐々に「②アストラル体」が消滅してゆく。次の界層に進んでその界において「③低位メンタル体」が徐々に消滅して、「パーソナリティA」が完全に消滅する。パーソナリティが消滅して「魂」だけになって「④高位メンタル界」に入る。「④高位メンタル界」では「プララヤ」の状態でしばしの休息をとる。

 

この後「魂」は下降して再生のための準備を始める。「魂」は次の再生人生では「パーソナリティB」をまとって物質界に再生する。順々に低位の質料をまとって「パーソナリティの構成要素(①肉体とエーテル体+②アストラル体+③低位メンタル体)」を完成させて地上に再生する。

再び肉体の寿命が尽きる。死によって低位の質料を消滅させながら「パーソナリティB」は徐々に消えてゆき(①→②→③の順番で消滅していく)、「魂」だけが残って「④高位メンタル界」に戻り「プララヤ」の状態で休眠する。

このように休息と顕現(=活動時期)を繰り返すことによって、「魂」が徐々に進化しゆく。そして地上に再生する必要が無くなるまで進化すると「④コーザル体(高位メンタル体)」は消滅して「⑤~⑦」だけになる(→「霊」と「霊の心」のみとなる?)。

 

☆譬え話

たとえを使って表現すれば、“私(=魂)”が、「コート(肉体+エーテル体)」「上着(アストラル体)」「シャッツ(低位メンタル体)」をまとって地上世界で活動する(→マンヴァンタラ)。その後、「コート→上着→シャッツ」を順番に脱ぎ捨てて休息(寝床に入って休息する。→プララヤの状態)する。寝床から出てきて前日とは違った色合いの「シャッツ」を身に着けて、その上に「上着」を着る。さらに「コート」をまとって地上世界で活動する。

このように“私(=魂)”は何ら変わらない。変わるのは着ている「シャッツ、上着、コート」のデザインや色合いの違いだけ、これを「全部再生」という。

このように「全部再生」とは、“私(=魂)”があたかも“服=パーソナリティ”を着替えるようにして、再び生まれ変わる再生のこと)」という。

 

☆神智学とスピリチュアリズムの違い

神智学には類魂の概念はなく(→“グループの法則”と呼ぶものがあるが、類魂の概念とは異なるという)、地上的志向が強い。神智学では「再生」や「死後の個性存続」さらには「霊魂の進歩」を肯定するが、「顕幽の交流」は否定している。

これに対しスピリチュアリズムでは類魂としての再生を説き、地上世界は類魂の進化(→個別霊は類魂というシステムを使って成長していく)のためのいわばトレーニングセンターであると位置づけ、比重は「類魂側=霊界側」にある。神智学とスピリチュアリズムでは視点の置き所が違う。

 

― - ― ― ― ― ― ― ― ― 

<注1>

■エーテル体(複体)とは肉体の原型のことで、肉体とそっくりな形状をしている。その機能はエネルギーを肉体の各部に送る働きをする。また「①物質界」と「②アストラル界」とを結合させている。五感によって生じた意識をエーテル体の脳を経て「②アストラル体」に伝え、また逆にエーテル体を通してエネルギー(プラーナ=生命素)を肉体に流し込む役割がある。チャクラやエネルギーの通路(ナヂスNadhi)はエーテル体にある。

このエーテル体と肉体は両方一緒に変化するので、エーテル体(=複体)を浄化すれば肉体も浄化されていくと述べる(→心霊手術で複体を治療すれば肉体も完治するという考えと共通している)。

 

 

« なぜ「19世紀半ば」であったのか:目次 | トップページ | 古代人の宗教について »