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ポルターガイスト

☆はじめに

20069月から10月にかけてアメリカのサンディゴで起きたポルターガイストの映像を見た。これは本物を素材として編集した記録映像なのか、あるいは単なる創作物なのか、内容を見ただけでは私には判別が付かない。しかし真偽の詮索はひとまず脇に置くとして、この映像は「霊的知識の普及」を考える上で参考になるので検証してみることにした。

 

☆現象のメカニズム

ポルターガイスト(騒々しい幽霊)とは物理的な原因がないにもかかわらず叩音(ラップ)がしたり、物品が宙を舞ったり、破壊したり、発火したり、激しい音をたてたりする一連の現象を言う。始まりの時と同様に唐突に終了する現象(→通常は二、三週間から二、三カ月で終息する)である。この現象は古くから知られている。

ポルターガイストは各種の物理的現象が一方的に発生するため、発生源である霊との間には交信が成り立ちにくいとされている(→ハイズヴィル事件は例外的な現象)。一般に現象が発生するためには、その場所に霊媒体質者が存在していることが条件となっている。

 

☆西洋と日本との違い

西洋ではキリスト教の伝播の過程に於いて、異端や魔女狩りなどといった形で土着のアニミズムやシャーマニズムは駆逐されてしまった。霊媒現象を通して死者の霊が出現するというアニミズムやシャーマニズムが持っていた「素朴な死生観や霊魂観」は表舞台から一掃されて、社会の裏側に押しやられてしまった。そしてキリスト教の「心霊現象は悪魔の仕業である」という観念が支配的になっていった。

 

これに対して日本では加持祈祷を行う修験者や、「ごみそ、いたこ、のろ」といった名称で呼ばれている“霊を仲介する者”の存在などを通して、身近な形で「霊魂や霊の世界が実在すること」や「顕幽の交信が可能なこと」が、何の疑いもなく信じられてきた。そして古くから庶民の間に存在した霊魂の存在を前提とした素朴な霊魂観や祖霊観が、宗教に影響を及ぼす形で同居してきた。

このような霊的背景が存在するせいか、日本におけるポルターガイストは比較的小規模であり、むしろ“おだやかさ”が感じられる(→今から二十数年前、私は学者や研究者のグループに加わって心霊現象を調査したことがあり、その際の印象である)。これに対して西洋では、自己の存在を盛大に主張するかのように現象は大規模でありハデである。

 

☆霊的存在の考察

人は死によって肉体を脱ぎ棄てれば「死のプロセス」が完了して、誰でもスムーズに霊的世界(=幽界)に移行していける、というわけではない。影響力の大きい知識人の多くは「精神(心)は物的脳によって生み出された副産物である」と発言している。その人たちの影響を受けた現代人は、死によって「精神(心)」は雲散霧消してしまい「記憶」だけが漂っていると考えている。このような人は死によって肉体を棄てたにもかかわらず“死の自覚”が持てない霊となったり、身体は霊的世界にあるにもかかわらずその世界の霊的波長に感応できずにいる霊となってしまう恐れが大きい。このように「死のプロセス」がいまだに完了していない地縛霊が、霊界(幽界の下層)と地上を接する部分の中間境(冥府)には数多く存在している。

 

本来であれば“死の自覚”の芽生えによって霊的調整を完了させて(→「死のプロセス」を完了させる)、中間境に「半物質状の幽質結合体」を脱ぎ捨てて、新調された幽体を纏って相応の世界に進んでいくのが本来の姿である。しかし霊的調整が完了しないため(→幽体が完成しないので)、いつまでも中間境にたむろしている霊(=地縛霊)が多すぎる。

 

このような地縛霊の中には「野獣のような性格の者、殺人者、犯罪者、麻薬常習者、ごろつき、悪質金融業者、嫉妬や復讐心に燃える者」(個人的存在252⑤)など、他人への迷惑など考えたこともない“悪質な霊”がいる。このような地縛霊は“中間境の下層”でたむろして、地上世界に悪影響を及ぼしている。マイヤース霊は“中間境の下層”を“テロリスト界”と呼んでいる(個人的存在252④)。

 

☆憑依される側の問題

霊界通信によれば、上記のような“悪質な地縛霊”に憑依される地上人は「自己中心的、意志薄弱で自主性がない、未熟な精神の持ち主」などの特徴があり、それなりの“受け皿”が出来上がっている者であるという。たとえば薬物中毒者は、麻薬常習者の地縛霊を引き寄せるなど、親和性ある地上人に引き付けられていく。引き寄せられた地縛霊は地上人と霊的波長を同調させて(→地上人のオーラの中に強引に入り込むイメージ)、物的身体のコントロール機能を乗っ取ろうとする。その結果、地上人が持つオーラの防御機能は破られて、地縛霊に精神の中枢機能を乗っ取られてしまい、異常な行動を起こすようになる。

 

☆映像のあらすじ

霊の存在を信じないミカ(男)にはガールフレンドがいた。大学生のケイテイ(→フォックス姉妹のケイトの通称名と同一)は霊媒体質者であり、8歳の頃から怪奇現象に悩まされてきた。15年前に原因不明の火事によって自宅が焼失している。ケイテイの行く先々でさまざまな怪奇現象が起きている。

映像は2006918日、怪奇現象を映像で残すためミカが室内にカメラを設置したところから始まっている。最初はラップやささやき声など穏やかな現象であったが、中盤から霊に凶暴性が現れてきた。たとえば15年前の火災で縁が燃えてしまったケイテイの写真を意図的に2階の寝室の天井裏に置いて、ミカとケイテイに恐怖感を植え付けたこと、廊下に吊るされている二人の額入り写真のガラスが割られてミカの顔の部分に縦長のキズを負わせたこと、2階の寝室で寝ているケイテイをベットから引きずり下ろしたことなど。

二人は徐々に見えない霊に対する恐怖感を高めていったことが映像から見て取れる(→私にはこれが演出なのか、実際の記録映像なのかの判別はつかないが)。そして1011日深夜、ケイテイの悲鳴にミカは2階の寝室から1階に駆け下りていった。しばらくして身動き一つしないミカの身体が2階寝室の入り口に表れて、室内に設置したカメラに向けて投げ飛ばされた(→その後ミカの遺体はサンディゴ警察によって発見された)。その直後にカメラに映ったケイテイの顔はホラー映画に出てくるような形相をしていた(→ケイテイは行方知らずとなった)。

 

☆上記を前提とした映像の検証

映像からはケイテイの性格に地縛霊を呼び込む何らかの“受け皿”があったのかどうかはわからない。最初は穏やかな怪奇現象の出現であったが、これによって少しずつケイテイの恐怖感が増していった。毎夜の現象によって次第にケイテイは身も心も疲れていって、その結果“肉体バリアー”が弱って霊が憑依しやすい状態が作り出されてきた。映像では肉体の衰弱とともに憑依霊の活動が活発化しているのが見て取れる。

 

大胆な仮説によって今回のポルターガイストを解説してみたい。今回のケイテイに憑依した地縛霊は一体だけではなかった。もともとケイテイには地縛霊が憑依しており(→またはストーカーのように付きまとっている)、彼女の身の回りでは絶えず怪奇現象が起きていた。918日以降最初の頃は凶暴性が少ない地縛霊が表面に出ていたが、途中から主役が交代した。その交代した“凶暴性を持った地縛霊”は、ボーイフレンドのミカと因縁がある霊ではないだろうか。その根拠は、二人の額入り写真のガラスが割られた際にミカの顔の部分に縦長のキズを負わせたこと。いわば“凶暴性を持った地縛霊”のターゲットは「ミカ、お前だぞ」と言わんばかりに名指しをしたこと。さらに最終的にはミカを殺したことなど。その際にケイテイは地縛霊に幽質を供給する一種の“道具”にされたのでは。

 

思うに“凶暴性を持った地縛霊”は絶えずミカを付け狙っていたがチャンスがなかった。そこに霊媒体質者で地縛霊が憑依しているケイテイが現れて同棲が始まり、チャンスが到来した。そして最終的にはミカは殺された。仏教では「因果律」は、たとえ「因」があっても「縁」に触れなければ「果」となって現れることはないといわれている。ここからミカは霊媒体質者のケイテイという「縁」に触れなければ、自身の「因(カルマ)」を今生に於いて違った方法で解消させることもできたのかもしれない。

 

☆この映像から見えてくること

この映像の主役であるミカとケイテイは、自分に起きていることの舞台裏を理解しておらず、エスカレートしていく怪奇現象にいたずらに狼狽するだけであった。また“霊能者の博士”は何ら適切なアドバイスを行うことが出来ず、二度目の訪問の際にはひたすら逃げていた。

 

一般に知識がないと不思議な現象に対して恐怖感が増していく。古代人は自然現象に対する理解がなかったことから、自然現象に対して恐れおののいていた。それと同様なことが、霊的知識がない現代人にも言える。きらびやかな近代文明を誇っている現代人ですら、こと怪奇現象に関する限りは、古代人の自然現象に対する理解と同レベルである。

地上世界に霊的知識を普及させること、霊的知識で武装すること。これらと同様に、問題行動を起こす地縛霊の救済は大きなテーマである。この映像から見えてくる結論である。

 

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