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第10講:心霊治療について

目 次

1.心霊治療に関する基本的な事柄

①.健康観、病気観

・調和状態

・病気の原因

②.心霊治療の目的

 

2.心霊治療の種類

①.磁気治療、心霊治療、霊的治療

・三種類の心霊治療

・スピリチュアル・ヒーリングとは

・ヒーラーの分類

・まとめ

②.遠隔治療

③.セルフヒーリング

④.心霊手術

⑤.憑依霊の除霊

⑥.心霊治療の周辺部

・信仰治療

・暗示効果

・補完・代替医療

 

3.心霊治療の背景

①.心霊治療のメカニズム

・「霊医」→「治療家」

・「治療家」→「患者」

・テレパシーの使用

②.治療エネルギー

・霊的・治療エネルギー

・治療効果

 

4.個別問題

①.心霊治療家の問題

・治療家と霊界の関係

・治療家の霊性と治療エネルギーの関係

・受容力以上の霊的エネルギーが流れた場合

・治療家の仕事

・治療家の生き方の問題

・治療家は変圧器・コンデンサー

・スピリチュアル・ヒーラーへの道

②.患者側の問題

・治療家と患者の関係

・カルマと治る時期の問題

・治療は「申し込み」によってスタートする

 

<注1>~<注2>

 

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1.心霊治療に関する基本的な事柄

①.健康観、病気観

ア)調和状態

A:健康と病気の定義

シルバーバーチは「健康とは身体と精神と霊の三者の関係」が調和状態にあること(1巻127⑫、9巻171⑧、最後啓示97⑫)。これに対して病気とは、三者間の調和の欠如によって生命力(霊的エネルギー)の流れが阻害され、病的症状が出る状態であると述べる(2巻193⑬、9巻171⑦~⑪)。

 

B:「身体」「精神」「霊」とは

ここでいう「身体」とは肉体のことであり、“自我(→霊魂、本来の私)”が物的世界で自己を表現する為にまとう「表現器官」のことになる(→霊的世界では自我の表現器官は霊的身体になる)。

 

次に「精神」とは辞書的意味では「心や意識のこと」(広辞苑7版)とされている。スピリチュアリズムからは「精神(心)」とは、地上人生を歩む人間が持つ“心の作用または行動の主体(パーソナリティ)”のことになる。意識には肉体を持つが故に発生する「本能に起因する意識と、そこから派生する意識」、これらの意識を便宜“A意識”とする。これに対して自我の本体である“意識(→霊の外皮、魂、本来の私)”から流れ込む「霊的意識」、この意識を便宜“B意識”とする。この二つの出自が異なる意識が存在する。これらの意識が“受信装置”である物的脳で統合されて一つになった状態、これを“精神(心)”と呼んでいる(→いわゆる地上的自我のことで、表面意識または現在の私のこと)。私たちが通常意識している“精神(心)”とはこれを指す。

人によって“精神(心)のレベル”が異なるのは、物的脳で一つに統合された“心(顕在意識)”に占めるA意識の割合とB意識の割合に違いがあるからである。例えば物質的傾向が強く快楽的な生き方をしている人の場合は、心に占める割合はA意識が強いという具合に。

 

三番目の「霊」は次のように説明できる。人は誰でも自我の本体である意識の中に“霊(=神の分霊)”を潜在的に宿している。その“潜在的完全性(=神の分霊、霊)”を、“霊の外皮である意識(=霊的意識、本来の私)の領域”に顕在化させていくことが、永遠の旅人たる人間の宿命となっている。したがって「霊」とは自我の本体と同義語ということになる。その“潜在的完全性”の顕在化の割合は人によって異なるため、人間の霊性レベル(=本来の私、インデビジュアリティ)に多様性が生まれる一因となっている。

 

イ)病気の原因

A:病の発症

三者(霊、精神、肉体)の調和が乱れることによって、肉体に病の症状が表れてくる。例えば“脳の機能の不調(→自律神経の不調や精神的な病)”や、肉体の各部位の不調として。

本人が他者の為に献身的に尽くしている場合であっても、過労によって三者間の調和が乱れれば自動的に病の兆候が表れる。なぜなら霊的法則は万人に分け隔てなく等しく適用されるものだから。これは“肉体の限界を超えた献身的行為”は利他的行為なので“潜在的完全性”の顕在化にはプラスに働くが、“健康に関わる法則”には違反しているので病気になるという意味。

シルバーバーチは「献身的な霊媒だからということで健康に関わる自然法則が免除になるわけではない」「職業とは関係ありません。いかに献身的であっても関係ありません。どこかで法則に反したことをしていて、その結果として病気が生じている」(最後啓示97⑥、97⑭~⑮)と述べている。

 

B:摂理違反行為

人間はさまざまな場面で自由意志を濫用して、それぞれのレベルに応じた摂理違反行為を日常的に行っている。たとえば暴飲暴食等の身体レベルで、過重な緊張やストレス等の精神レベルで、“霊性の低さ(→潜在的完全性の顕在化率が低い状態)”に起因する利己主義や貪欲等の霊的レベルで、さらには過度の心配や取り越し苦労をすることによって生命力が流れる通路を遮断する形で、多彩な原因を作っている。その結果、身体・精神・霊の調和状態が乱れて生命力の流れが滞って、さまざまな病が発症する(3巻209⑦~⑧、5巻125③~⑥、9巻182⑦、最後啓示73⑪~⑫、最後啓示137⑬)。

 

摂理に違反した行為によって病を発症した場合には、「自分自身の努力(生活スタイルを変える、暴飲暴食を止める)」や「霊界からの治療エネルギーの注入(心霊治療、セルフヒーリング)」などにより、調和を取り戻すことによって病が癒える(5巻125③~⑥)。しかしケースによっては、出生に際して“本来の私(インディビジュアリティ)”が自ら選択して“遺伝性の因子を持った身体(→そのような両親を選択する)”に宿って、ハンディを背負いながら地上体験を積むといったカルマに絡んだケースもある。そのため全ての人が存命中に病が癒えるとは限らない(4巻195⑬~⑭)。このことをシルバーバーチは「病気の全てが治るとは限らない」「患者の中にはいかなる治療家にも治せない人がいる」(語る106③~⑤)と述べている。

 

人体構造から見ると、人間は物的身体とそっくりな中間物質で出来た“接合体(→ダブル、エーテル体、複体、結合体、中間体、幽質結合体、ペリスピリットなどの名称がある)”を持っている。病気になった時に治療するのは、原則としてこの接合体の方である(語る107⑦~⑩)。

 

②.心霊治療の目的

心霊治療には三つの段階がある。まず治療によって「病気も治り魂も目覚める」段階、次に「病気が治る(魂の目覚めはない)」だけの段階、最後に「治療行為を施すだけ(魂の目覚めも治病もない)」の段階がある(6巻181⑫~⑮、9巻74⑪~⑬)。

 

霊的実在の証明という観点から見るならば、心霊治療によって患者の身体を癒して悩みを解消してあげても、霊的に何の感動を覚えなかったらその治療は失敗したことになる。心霊治療の目的は「眠れる魂を目覚めさせ、霊的自覚をもたらす」ことなので、「身体は治らなくても魂に何か触れるものがあれば、その治療は成功」となる。このように心霊治療の本質は魂に関わることであって、物的身体に関わることではない(1巻124③~⑤、9巻169①~③)。すべての霊的活動(→例えば各種心霊現象、霊的な交信、心霊治療など)の目標は、人間は霊的存在であることを理解させることによって生命の実相に目覚めさせることにあるから(6巻13⑤)。

 

2.心霊治療の種類

①.磁気治療、心霊治療、霊的治療

ア)三種類の心霊治療

心霊治療には三種類ある(1巻126⑬~127③)。まず治療家自身の物的身体が持っている豊富な生体エネルギー(磁気エネルギー)を、患者に注入することで病気が治る場合がある(→マッサージ、按摩、鍼灸等)。この磁気的で生理的な治療は「マグネチック・ヒーリング(物的身体レベル)」と呼ばれるものであり、霊界との関わりは全くない(6巻44⑬~45②)。次に心霊的ではあっても霊的とは言えないもので、治療家自身の霊的身体が持つサイキック・エネルギーを使う「サイキック・ヒーリング(霊的身体レベル)」がある(→気功治療)。ほとんどの遠隔治療は此処に入る(1巻127④~⑤)。そして最も程度が高い「スピリチュアル・ヒーリング(=スピリット・ヒーリング、→治療家は霊力の通路となる)」がある(1巻127①~②)。

 

このように心霊治療と言っても「物質次元の磁気的なもの」や、エネルギーの質は「スピリチュアル・ヒーリング」よりは落ちるが、魂への影響力が限定的な「治療家の霊的身体を使用した心霊的なもの」。さらにその上に「霊界の高い界層からのエネルギー」を使用した治療がある(最後啓示204⑦~⑨)。心霊治療がどの段階の霊的エネルギーを用いて行うことが出来るかは、治療家の霊性の高さによって決まる(最後啓示205⑨~⑩)。

 

イ)スピリチュアル・ヒーリングとは

霊界の霊医が関与した「スピリチュアル・ヒーリング(=スピリット・ヒーリング)」とは、霊界の医師が患者の病が治るべき時機が到来している時に(→未到来の場合は治病なし、一定期間が経過後に効果が出てくる場合もある)、治療家を通して治療エネルギーを注ぎ込んで患者を一瞬のうちに治してしまうものを言う(1巻127①~②)。

その際に使われる治療エネルギーは“霊医(霊界の医師)”が霊界にある化学物質に相当する霊的素材を、患者の症状に応じて“調合”して作り上げたもの。その治療エネルギーを治療家が通路となって、中間物質に転換して患者に注ぎ込む、この治療スタイルを「スピリチュアル・ヒーリング(=スピリット・ヒーリング)」と言う(9巻174⑪~⑬、9巻175⑥~⑨、最後啓示189①~⑤、最後啓示190⑥~⑧)。

 

ウ)ヒーラーの分類

心霊治療家には「主役が治療家であるサイキック・ヒーラー」と、「主役が霊医であるスピリチュアル・ヒーラー(治療家は霊力の通路)」がいる。後者のヒーラーは、通常の方法では物質界に届かないエネルギーを治療に用いるため、霊界の医師との間で可能な限り波長の一致をはかる必要がある(→親和性の法則から)。そのため「生活態度を可能な限り理想に近づける努力」(9巻173⑦~⑨)をする必要がある。

 

エ)まとめ

A:主役は治療家

・マグネチック・ヒーリング ― 治療家の肉体磁気エネルギーを使用、物的身体レベル

・サイキック・ヒーリング ― 治療家のサイキック・エネルギーを使用、霊的身体レベル

B:主役は霊医

・スピリチュアル・ヒーリング ― 宇宙に遍満している霊的エネルギーの一種である治療エネルギーを使用、治療家は“通路”となる。治療家の霊性レベルに応じて“通路”を流れる治療エネルギーの質が決まる。

 

②.遠隔治療

心霊治療には治療家と患者が相対して行う「直接治療または接触治療(contact healing)」と呼ばれるものと、相対せずに患者不在の形で、または物理的な距離をおいて行われる「遠隔治療(absent healing、distant healing)」とがある。

 

直接治療や遠隔治療は「治療の申込」によって開始される。この意思表示によって治療家と患者の間に治療エネルギーが流れる磁気的な通路が出来上がる(最後啓示27⑦~⑨)。治療の申し込みは「患者から」「患者の周辺部の人から」「治療家から」の要請によって始まる。その際に本人が自分のために遠隔治療がなされていることを知らない場合でも、また治療家が一方的に施してあげる場合でも、両者間に磁気的通路が存在するので遠隔治療は可能である(9巻177③~178⑥、最後啓示191⑤~192⑦)。

霊界の霊医から送られた治療エネルギーは、治療家の“霊的身体(物質性の濃い霊体、つまり幽体のこと)”を通過することによって“中間物質(→半物質的治療光線:9巻176④)”に転換されて、患者との間に出来上がった磁気的通路に乗って患者に送られる。

 

③.セルフヒーリング

本来の“心霊治療(スピリット・ヒーリング)”では、治療家は“治療エネルギー(霊的エネルギー)”の通路となって、このエネルギーを能動的に用いて患者の病を癒している。この“スピリット・ヒーリング”の場合には、治療家の“精神(地上的自我のこと)”は受け身の状態となっている。

治療家自身が病となった時は、この治療エネルギーの向きを自分に向けて病を癒すことができる。このようにして自分で自分を治せる治療家は数多く存在する(到来231⑩~⑪)。自分で自分を治癒する「セルフヒーリングには精神統一と受容性」(11巻74③~④)が必要になってくる。

 

④.心霊手術

治療家はトランス状態となって(→患者は意識を保っている)、霊界の霊医に一時的に肉体を使用させる。霊医は外科手術の要領で治療を行う。この治療を「心霊手術(spirit operations)」という。心霊手術には「霊界の霊医が治療師と一体となって行う場合(→霊医は治療師の身体を完全に支配下に置いて、自分の身体と同様に自由自在に使用する)」と、「治療師の生体エネルギーを使って行う場合」とがある。両者とも直接に患者の肉体に対して物質次元での治療を施す(→腫瘍などの病変組織を取り出す)ことに変わりはない(注1)。

 

人体の構造は“霊的身体(→物質性が濃厚な霊体で幽体のこと)”と“物的身体(→地球人の場合は肉体)”、そして両者をつなぎ留めている中間物質で出来た“接合体(→様々な名称で呼ばれている)”の三つの要素から出来上がっている。この肉体に現れた異常部分は人体と同一形体をとる接合体の同じ場所にも表れるので、一般にこの部分(=接合体)の異常を外科手術の要領で取り除くと、肉体に表れた異常が治るという仕組みである(→フィリピンのトニーは直接“肉体の患部”を外科手術の要領で治療を施している)。

 

物理的心霊現象の一つである心霊手術がブラジルやフィリピンで行われているのは、霊的風土が心霊手術を行うに適しているから。霊的実在の証明はその地の住民の程度(→教育水準、文化の程度、霊的なレベル)に合わせないといけないから、と言われている(9巻102⑦~⑬)。

 

⑤.憑依霊の除霊

A:異常行動や病気の発症

物質界と霊的世界が接する界(中間境)の下層にいる「死の自覚がない地縛霊(→地上に縛られている霊だから)」や、幽界の下層にいる邪霊が、患者側に存在する何らかの“霊を引き寄せる受け皿(→例えば薬物依存症、自殺志願者、殺意を抱く者など)”に応じて憑依する。その憑依の結果、患者に異常行動を取らせるケースや、憑依霊が持つ病気が患者に発症するケースがある(注2)。

 

B:ウィックランド博士の事例

憑依霊の除霊治療では、アメリカの精神科医カール・ウィックランド博士による治療がよく知られている(→近藤千雄訳、ウィックランド著『迷える霊との対話』ハート出版1993年刊参照。→田中武訳、ウィックランド著『医師の心霊研究30年―日本心霊科学協会叢書』出版科学総合研究所1983年刊参照)。

 

ウィックランド博士は患者が行う異常行動の原因は憑依霊にあるとして、患者に一種の電気ショックを与えて憑依霊を引き離す。そして患者から離れた憑依霊を、背後霊団のマーシーバンドが取り押さえて霊媒(ウィックランド夫人)にかからせる。霊媒に乗り移った憑依霊は、霊媒の口を使って博士と対話を行う。その対話の過程で憑依霊に死の自覚が芽生えて来て、マーシーバンドに伴われて患者から離れていく。このような方法で患者の異常行動や病の原因を取り除いた。ウィックランド博士が行った除霊治療は、一種の“招霊実験の医学版”である。

 

地縛霊は、霊的無知、誤った宗教的信仰、唯物的固定観念などが原因で「死の自覚」が持てず、そのため霊的な波長に反応せず(→肉体がないにもかかわらず波長的にはいまだ地上圏にとどまっている)、周りにいる救済霊の姿が見えない。ウィックランド博士の霊媒はマーシーバンドという高級霊団によって保護されているので、地縛霊や邪霊を憑依させても害はない(→この除霊は霊界の霊団によるスピリット・ヒーリングのケース)。

 

一般的に行われている除霊治療には(→治療家の生体エネルギー使った治療であると思われる)、形式や儀式偏重の傾向が見受けられる。この傾向につきシルバーバーチはキリスト教で行う悪魔払いの儀式を例に取り上げて、「ただの儀式として行うのであれば何の効果もない」「儀式は物的表現形式にすぎず、その反応はせいぜい精神の次元止まり、霊にまで及ぶことは滅多にない」(最後啓示91⑫~92④)と述べる。

 

⑥.心霊治療の周辺部

ア)信仰治療

信仰治療は信仰の効用を利用して間接的に疾病を治療する療法で、「患者に対する治療行為が同時に信仰儀礼の一部」となっている点に特徴がある。M.エディ夫人(1821→1910米国)によってアメリカで創設されたキリスト教の一派、クリスチャン・サイエンスの信仰治療は良く知られている。

心霊治療の治療主体は霊界の霊医(→スピリチュアル・ヒーリング、またはスピリット・ヒーリングの場合)。治療家は霊医と患者との間の通路となって、霊的エネルギーの変換器の役割を果たす。信仰治療の場合には神や仏が治療を行うとされるので、病気を治すためには患者に強い信心が必要となる。そのため「病人に対してなされた祈りに効果がなく死が訪れたのは、まわりの者たちの信仰が充分でなかったためである」とされる。なぜなら「充分な信仰さえあれば神は彼らの祈りに応えてくれる」と教えられてきたから。

 

ハリー・エドワーズは患者が信仰を有していなくてもよい事例として「霊的治療が信仰治療ではないという証拠は、信仰を持つには若すぎる赤ん坊や子供が癒されるという事実によっても簡単に示される」。また本人が知らなくても「第三者からの依頼によって遠隔治療を受けるといった患者も存在する」をあげている(ハリー・エドワーズ著『霊的治療の解明』1984年刊、162頁~170頁)。

 

イ)暗示効果

精神状態を正すことで病を治す治療法として「偽薬(主薬を配合していない薬)」を使った治療がある。薬自体に何の作用がなくても患者は薬効があると信じて飲むと何らかの効果が生まれる(プラシーボ効果)。他に暗示法やイメージ法などがあるが心霊治療とは異なる。

1952年6月にハリー・エドワーズが盲人を治療したケースに対して、英国医師会は「治癒は暗示に過ぎない」と述べた。この暗示に過ぎないという医学的説明に対して、エドワーズは「(英国医師会は)50年もの間全盲状態の後、ただ見えますという暗示だけで視力が回復したとまじめに主張した」「(暗示だけで視力が回復するのならば)いったいなぜ、眼科医はもっと早くそれをしなかったのか、なぜ50年もほっておいたのか」と批判した(『霊的治療の解明』168頁~170頁)。

 

ウ)補完・代替医療

伝統医学として、東洋医学(漢方)、気の医学(気功)、アーユルヴェーダ(インドの伝統医学で心や体、行動、環境等の全体の調和が健康にとって重要とする治療)、ユナニ医学(アラブ・イスラム圏の伝統医学で薬草や食事療法を中心とした治療法)などがある。

民間療法として、腹式呼吸法、カイロプラクティック、レイキ、ハーブ療法、食餌療法など数多くあり、いわば百花繚乱状態とも言える(→なかには迷信もあるので注意)。

 

3.心霊治療の背景

①.心霊治療のメカニズム

ア)「霊医」→「治療家」

治療エネルギー(→宇宙に遍満している霊的エネルギー:11巻213⑭)とは「賦活性をもった生命力の一種」(5巻127⑧)のこと。霊界の霊医は患者のオーラを診断して、「化学物質に相当する霊的素材」を一人一人の症状に合わせて“調合”し、治療エネルギーを作る(9巻174⑪、9巻175⑥~⑨、最後啓示189②~⑤)。いわばスピリチュアル・ヒーリングはオーダーメードであり、準備は実際の治療行為の前に終了している。

それを霊的波長にも物的波長にも感応する通路である治療家の霊的身体(物質性の濃い霊体)に、治療エネルギーの波長を落として潜在エネルギーの形で送る。治療家は送られてきた治療エネルギーを、自身の霊的身体で「半物質的な治療エネルギーに転換」(最後啓示190⑥~⑧)する。

 

イ)「治療家」→「患者」

病を持つ患者は当然波長が低くなっている。そのため霊界からの高い波長を持った治療エネルギーを注ぐには、治療家の霊的身体を使って患者に合った程度まで波長を下げる必要がある(6巻26⑥~⑪)。

治療家の霊的身体(物質性の濃い霊体)が持つサイキック・エネルギーと結合して中間物質に変換した治療エネルギーは、患者の松果体ないしは太陽神経叢を通って(6巻40⑩、→そこが霊と精神と肉体の三者が合一する場だから:6巻39⑤~⑥)、患者の体内に流れ込んで全身に行き渡る。その時に患者は「電気的な温もりを感じる」(6巻40⑪)。

そのエネルギーが患者の「魂にカツを入れて居眠りの状態から目を覚まさせる」(9巻172⑫~⑬)。その結果、患者自身に具わっている自然治癒力が機能を発揮して健康状態を取り戻すことになる(9巻172⑭)。

 

ウ)テレパシーの使用

治療家と患者が対面していない場合(遠隔治療:absent healing、distant healing)は、患者側の“治療の申し込み”という思念が治療家のもとに届けられて開始する。治療家が申し込みを受託した時点で、両者間にテレパシーによる“懸け橋”ができあがる(→法律行為の契約は申込と承諾の双方が存在して成立するのと同じ原理)。その“懸け橋”にのって中間物質に転換された治療エネルギーは、患者の松果体ないしは太陽神経叢に送り届けられて、そこから全身に行き渡る(最後啓示191②~192⑦)。

 

②.治療エネルギー

ア)霊的・治療エネルギー

治療エネルギーとは「生命力の一部」であり「霊的エネルギーの一つ」(1巻128⑦、2巻108③)でもある。そのエネルギーが通路である治療家の霊的身体を通過して、患者の霊的身体に届けるのが心霊治療である(最後啓示69⑤~⑥)。

霊界の霊医は日頃から、治療家を通してどの程度の治療エネルギーが患者に送れるか、エネルギーの効果的な組み合わせはどれか等の研究を行っている(1巻130⑪~⑬、11巻149⑨~⑪)。なぜなら治療エネルギーは治療家の霊性によって制約を受けるから。ここから心霊治療家は流入する治療エネルギーの質量を高めるために、日常生活において霊性向上の努力が求められることになる(最後啓示70⑪~⑫)。このような形で「霊医→治療家→患者」と流れてきた治療エネルギーは、患者側に存在する「霊的無知、誤った生き方、誤った考え、高慢、自惚れ、嫉妬心、失望」(1巻134⑨~⑫)によって流入が拒まれてしまうことがある。

 

イ)治療効果

霊界の霊医から治療家がどの程度の治療エネルギーを受け取れるか、また患者が治療家からどの程度の治療エネルギーを受け取れるかは、さまざまな条件の下で治療が行われるので、やってみないとわからない。その時々の治療家の健康状態や、患者の霊的・精神的・身体的条件が、その患者に注入される霊力の質と量を決めることになるから(福音119⑩~120⑧)。

 

心霊治療によって患者の病気が回復するということは、その背後に何らかの法則が存在しているということであり、さらに患者の魂がその法則を受け入れる時期に来ていることを意味する(2巻47⑭~48②)。このような形で「霊的治療が効を奏した時は、病はけっしてぶり返さない」(9巻91⑫)。

なお心霊治療の目的は霊を目覚めさせることにあり、寿命を長引かせることではない。そのため寿命が来ている患者の場合には、治療によって魂が首尾よく肉体から離れるのを助けることになる。結果的に患者が死亡するという場合もありえる(最後啓示202⑧~⑩)。

 

4.個別問題

①.心霊治療家の問題

ア)治療家と霊界の関係

霊界側の協力を得るための最初の一歩は、地上人が行動で示さなければならない。まず真摯で献身的な治療家が正しい霊的法則に則って治療に当たっていることが必要である。この時の治療家は「サイキック・ヒーラー」に分類される。この治療家の熱誠と霊性に同調した霊界の霊医が自動的に引き寄せられる(1巻172⑨~⑪)。そして一種の“試用期間(→本物かどうかの見極め期間)”を経て、治療家と霊医の協調関係が徐々に高まっていく。同時にその治療家のもとに、霊力を受け入れるだけの用意ができた患者が引き寄せられてくる(→霊界主導で患者本人による自発的な意思の発現という形をとって、治療家の下に連れてこられる)。

 

イ)治療家の霊性と治療エネルギーの関係

無限に存在する“霊的エネルギー(治療エネルギー)”をどれだけ受け入れることが出来るかは、ひとえに治療家自身の霊的進化にかかっている。治療家の霊性が向上すればそれだけ受容性が高まるので、それに見合った良質の治療エネルギーが流入してくる(9巻103⑪~104⑧、最後啓示69⑨~70⑬)。そのためには霊医との調和状態を高めるために、治療家は可能な限り“理想に近づけた日常生活”を送る必要が出てくる。このことから治療家に課せられた責務は、ひたすら自身の霊性を高めて良質の“治療エネルギーの受容能力”を増すことに尽きる。シルバーバーチは「現段階の地上界では、大霊の最高の治癒エネルギーは使用できません。治療家が霊的に向上するにつれて、より高いレベルのエネルギーが使用できる」(語る114⑨~⑪)と述べている。

 

ウ)受容力以上の霊的エネルギーが流れた場合

治療家の受容力が発達して、より高い運動速度・威力を持ったエネルギーに耐えられるようになると治療エネルギーは強度を増す(11巻149⑬~⑮)。流入する霊的エネルギーの分量に制限を加えているのは治療家の霊的発達レベルであり、それがどれだけの霊力を受け入れることが出来るかを決定づけるから(9巻171②~③)。なお強すぎる霊的エネルギーは治療家の霊的身体(物質性の濃い霊体)を通過する際に障害を引き起こす(11巻149⑬)。

 

その具体的事例がモーゼスの『霊訓』にある。「前節の通信(戦死者や死刑制度を霊的観点から見た場合の誤り)が書かれた時の勢いはこれまでになく激しいものだった・・・書き綴っている時は手がヒリヒリし、腕ががくがくして、強烈なエネルギーが身体を流れるのを感じた。書き終わった時はぐったりとして横になるほど疲れ果て、頭の奥に激しい痛みを覚えた。そこで翌日さっそくその頭痛の原因を尋ねた」。このモーゼスの問いかけにインペレーターは「あの時の頭痛はエネルギーの強さと、それをそなたより引き出す時の速さが度を越したからである」(霊訓上46②~⑩)と述べた。

 

治療家の治療行為が、上記のような高い“霊的エネルギーの通過”に伴う症状に妨げられることなく行うことができれば、治療に一層の効果をもたらすことになる(→治療家の霊性が向上することによって、通路を流れる治療エネルギーの質が向上するから)。そのためには霊医から流れてくるより高い強烈な威力を持った治療エネルギーに、自らの霊的身体が耐えられるように治療家の霊性レベルを向上させる必要がある。そのためには自己犠牲を伴った利他的行為を行って、“潜在的完全性(=神の分霊、霊)”を意識の領域に顕在化させて、自らの霊的な受容力を増すことが求められてくる。

 

エ)治療家の仕事

A:治療家の営業活動

霊界とパイプのできた心霊治療家のもとには、いわば霊界側が“営業マン”となって患者を連れてくる。そのため治療家みずから患者を求め歩いて「病気を治してほしい人はいませんか」とか、「私は治療家です。どなたか治してほしい方はいませんか」などと(10巻142⑪~143②、11巻64⑩~⑫)、日常的に触れ回って“営業活動”をする必要はない。なぜなら霊界側が選んだ患者が、みずからの意志で治療家のもとを訪れるから。

なお治療家のもとを訪れた患者に対しては分け隔てなく心霊治療を施すが、施した後のことは患者自身の責任に帰すべきことになる(11巻65⑪~66②)。治療家の責任の範囲は訪れた患者に対して治療を施すまでであり、患者が「仮に治療のあと間違った生活をしてさらに厄介なことになっても、それは患者自身の責任」(11巻67②~③)だから。

 

B:霊視能力や病気の診断能力

治療家の仕事に際して患者のオーラが見える、見えないは治療そのものとは何の関係もない。また病気の原因が診断できるか否かも関係ない(9巻179⑦~⑫、最後啓示194⑫~195⑤)。これに対して主役が治療家である“サイキック・ヒーラー”の場合は、これらの能力は治療家の仕事に何らかの形で役に立つかもしれない。しかし主役が霊医である“スピリチュアル・ヒーラー”の場合は関係ない。むしろ親和性を高めて霊医が扱いやすい状態になることが大切である(9巻179⑧~⑨、最後啓示194⑭)。

 

C:治癒率について

数多い治療家の中には治癒率を誇る者もいる。心霊治療の目的やカルマの存在から考えてみれば、治療家が患者の病をどれだけ治癒させたか、という“治癒の成果”を誇ることは全く無意味なことに気が付く(11巻62⑫)。なぜなら治癒率を誇る治療家には、心霊治療の主役は霊医であり“治療家は霊力の通路に過ぎない”という本質が抜け落ちていること。さらにカルマが絡んだ病気の場合には、カルマが解消する時期が到来(→霊的負債の完済時期)していなければ、治療家がいくら熱意を込めて治療しても患者の肉体に現れた病は癒えないからである。なぜなら心霊治療は“因果律の法則の枠内”で行われる行為であるから。治療家の行為は“実態(治る時期にあること)”と“外形(いまだ病が存在する)”の不一致を解消することであって、奇跡を起こしているのではない。

 

オ)治療家の生き方の問題

治療家の患者を思いやる人間性は、自らの苦しみの体験から生まれてくる(11巻63⑭~⑮、11巻121③~⑥)。治療家を含めた霊能者の人生には共通したパターンがある。「必ず人生のどん底を味わい、もはや物質の世界には頼りにすべきものがないと諦めた土壇場で霊的真理との出会いがある」、このような絶体絶命の体験を味わうことによって霊的意識が芽生え、霊界との間にリンクができるから(最後啓示34①~⑧)。

 

カ)治療家は変圧器・コンデンサー

治療家は治療エネルギーが流れる通路であり、高い霊的波長を物的波長に変換するコンデンサーのような存在である(6巻24⑤)。その治療エネルギーが治療家を通って患者に流入して乱れてしまった調和を取り戻すことになる。

 

キ)スピリチュアル・ヒーラーへの道

A:治療家は通路意識に徹する

治療家は霊的な受容性を高めて治療霊団との一体化を深めるためにも、個人的な感情を極力控えて無垢な状態を維持した“通路意識”に徹する必要がある(最後啓示71②~③)。ここから治療家は“通路としての高い品質を保つ(→霊性を高める)”ためにも、当然に日常生活のあらゆる面で自己コントロール(自己修養)に徹する必要性が出てくる。シルバーバーチは「少しでも多くの霊力が流入するようにとの祈り以外のものがあってはなりません。あくまでも道具なのですから、自分勝手な考えを差し挟むことは許されません。霊力の流れの通路であること、それが治療家の仕事です」(最後啓示71③~⑥)と手厳しく述べている。

 

B:霊医が使いやすい状態をキープする

治療家は霊医が使いやすいような状態を常に維持すること、霊力の通路であるという意識に徹すること、“道具”として完全になることを心がけること、このようなことが努力目標として求められる。日常生活の中で努力する、そのことが霊力の流れを豊かにする(9巻179⑧~⑪)。治療家の霊性が下がれば、霊医との波長が合わなくなるので質の良い高い治療エネルギーを受け取れなくなるから。

 

治療家のもとにやってくる患者は病を抱えているため波長が低くなっている。このような患者と日夜接していると治療家自身の波長も患者に引きずられて低くなってしまうので、祈りや瞑想の時間を意識的にもって霊性レベルの向上に努める必要が出てくる(→何もせず感謝されていると落ちていくから、日々のメンテナンスが必要となってくる)。

上記のように治療家は「生活態度を可能な限り理想に近づける努力をしなければならない」(9巻173⑧~⑨)ので、スピリチュアル・ヒーラーへの道は厳しい(→世の中には“自称スピリチュアル・ヒーラー”は多いが本物は少ない)。

 

②.患者側の問題

ア)治療家と患者の関係

A:患者側の協力

患者は複数の治療家から遠隔治療を受けても問題ない(6巻45⑩~⑬)。また患者が精神を統一して遠隔治療に協力することは、両者の波長の調整にプラスになるので治療効果が増す(7巻182⑧~⑬)。遠隔治療を行う際に時間を指定して行っても良い。しかし治療家の能力が一段と発達すれば、治療霊団との連絡がしっかりと出来上がるのでそれも不要となる(9巻99⑬~100④)。

 

B:患者のうろたえの感情

心霊治療の最大の障害物は、患者の不安と取り越し苦労、そして次から次へと治療家を変えていく“うろたえの感情”である。なぜならその不安や“うろたえの感情”が、治療エネルギーが通過する連絡通路を塞いでしまうから。霊力が一番よく働くのは受け身的で穏やかな雰囲気の時である(5巻128①~⑩、6巻45④~⑨)。

 

C:病気治癒には条件がある

病気が治るためにはそれだけの霊的な資格がなければならないので、治らない場合は治るための霊的資格ができていないからと言える(9巻185⑤、9巻186③~④、到来177⑫~⑬)。なぜなら患者には病気がきっかけとなって従来の生活を反省して、本来の生き方を学ぶ機会が与えられたのだから(11巻66④~⑤)、いわば病気は「魂の磨き粉」の役割を担っているから(→自我の本体に内在している“潜在的完全性”を、病という磨き粉を使って発現させているようなもの)。

 

患者の霊的成長段階によって、その人に注がれる治癒力の分量が決まるので(福音131⑮~⑯)、患者の魂に治療エネルギーを吸収する受け入れ態勢が出来ていない時は何の効果もない(到来151⑪~⑫)。治療家の責任は患者に治療を施すことであり、治療を施した後のことは患者自身の責任に帰すべき問題となる(11巻66①)。

 

イ)カルマと治る時期の問題

A:受け入れる段階にあるか否か

患者の中には“カルマ(霊的負債)”によって病が発症している場合がある。その肉体的苦痛が患者の霊的成長にとって不可欠の要素(→病が魂の磨き粉として必須)となっている場合で、目標とする成長レベルにいまだ達していなければ、いくら治療エネルギーを注いでも、いかなる治療家によっても治すことはできない。なぜなら患者の魂に治療エネルギーを受け入れる準備が整っていないから(1巻135⑧~⑩、6巻19⑫~⑭、11巻70⑪~⑮)。病とカルマとの関係から言えば、患者は“病という体験”を通して前世での霊的負債を返済しているので、完済しない限り治癒はあり得ない。

 

B:「外形」を「実態」に合わせる

例えば銀行から借金してマイホームを購入し(→銀行は物件に抵当権を設定する)、20年後に住宅ローンの返済が完了したとする。この段階に至って初めて“治る時期が到来”したことになる(→借金がないので)。しかしこの時期、登記簿上にはいまだ銀行の抵当権が付いたままである。これを抹消して始めて自宅は自分のものだと主張できる“第三者対抗要件”が得られることになる。

いわば治療家はこの「実態(借金は完済した)」と「外形(いまだ抵当権が付いている)」の不一致状態を正すために、法務局に「抵当権抹消登記申請」をして、実態にそぐわない外形を正す行為を行っているようなもの。毎月の借金の返済はあくまでも“債務者である患者”が地道に行わなければならない。

 

C:病は魂の磨き粉

病と霊的エネルギーとの関係から言えば、魂がその反応を示す段階まで発達していなければ肉体への反応も起こり得ない。心霊治療が功を奏するためには、霊的エネルギーを受け入れるだけの態勢が、患者の魂に出来ていることが絶対条件となる。魂に受け入れ態勢が整うまでは往々にして悲しみや病気がお伴をすることになる。なぜなら地球人類の極めて低い霊性レベルから見れば、病気は霊性の向上のための「魂の磨き粉」という位置づけになっているから(→カルマに絡んだ病気は“風呂場の黒カビ”に例えることが出来る。なぜなら根が深く張っていて落としづらいから)。

心霊治療は最初に魂が癒され、その結果肉体が癒されるのが順序(6巻22⑤~⑩)。いわば治療家は「治るべき条件の整った人を治しているだけ」(到来152⑦)とも言える。

 

ウ)治療は「申し込み」によってスタートする

心霊治療は直接・遠隔を問わず治療依頼により開始する(9巻176⑨~177②)。治療の依頼がないということは本人が治療を望んでいないとも受け取れる。これは自由意志の問題とも絡んでくるので、霊界側は本人が望んでいない以上は手出しができないからである。

ハリー・エドワーズ著『霊的治療の解明』(1984年刊、p.29⑩~30⑥)に、治療依頼に関して次のような興味深い事例が載っている。

 

――ある治療師の奥さんが背骨を悪くした。その晩、夫の治療師が霊媒となって交霊会を持った。子供たちは交霊会に現れた治療霊(霊医)に向かって「なぜ治療霊は母親のことを治してくれないのかと食ってかかった」。それに対して治療霊は「私たちは頼まれていなかったのですよ」。そこで息子は「それじゃあ今からはっきりとお願いしましょう」。治療霊はそれに応えて「よろしい、やってみましょう」といった。その晩母親は背骨をいじり回されているのを感じたが翌朝全快して普段と変わらずに歩き回れたという――

 

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―  

<注1>

①.心霊手術には

心霊手術には「霊界の霊医が治療師と一体となって行う場合(霊医は治療師の身体を完全に支配下に置いて、自分の身体と同様に自由自在に使用する)―ア」と、「治療師の生体エネルギーを使って行う場合―イ」がある。

「上記ア」はイギリスのジョージ・チャップマン(霊医はドイツ人ウィリアム・ラング)や、ブラジルのアリゴー(霊医はドイツ人アドルフォ・フリッツ)による心霊手術のケースである。「上記イ」は本山博氏が調査したフィリピンの心霊手術のケースであり、治療師は治癒のための霊力(生体エネルギー?)を得るため、長年にわたり苦行を行うという。

 

②.本山博氏の調査

超心理学者兼宗教家の本山博氏は1966年、1968年、1972年にフィリピンの心霊治療師及び心霊手術師を調査した。そして次のように分類した(本山博著『フィリピンの心霊手術』宗教心理出版1977年刊、219頁~参照)。

A:トランス状態で心霊手術を行うもの

B:患者の身体に触れることなく心霊治療を行うもの

C:患者の身体に手を触れつつ心霊治療を行うもの

D:患者の身体に手を挿入しつつ心霊手術を行うが、手術後、傷跡が残らない、あるいは残ってもほんの僅か

E:西洋医学的外科手術に近い心霊手術

F:盲腸の手術というような限られた心霊手術

 

上記Aにつき、心霊手術ができるようになった治療師は、初期の段階ではトランス状態で行うが、次第に意識が目覚めた状態で心霊手術ができるようになるのが通例であるという。上記BCは、世界各国の心霊治療師が行っているスタイルだが、患者の身体を切開するような心霊手術は行わず、霊的エネルギーを送って病気を治すのみ。しかしCのグループには心霊治療だけでなく心霊手術を行える者(マルセロ)もいる。上記Dはトニー、マルセロ、メリカド、オリガーニ、ビヘェリオなどが行っており、最も劇的で印象的なもの。上記Fの限られた範囲の手術は、ルフィーニ・マグリバが行っている。

 

上記Eに属するブランセ(またはブランシェ)は患者の身体に触れることなく、その皮膚上に切開を作る。切開を作った後、ブランセは素手でその切開を広げて、手を患部に押し込み腫瘍等を取り出す。ブランセの場合は外科用の道具を使わない、消毒もしない、止血もしない、麻酔もしない、しかし患者は痛みを感じない。傷跡は半永久的に残るが傷口は約1週間位で治り、化膿する率は普通の外科手術と比べてかなり低い。またブランセは神または守護霊から送られてくる霊力によって手術を行っていると述べている。

 

本山氏はフィリピンの心霊手術を調査して「心霊手術の能力はある特定の土地(の或る条件)と密接に関係しているように思われる。地磁気その他の土地の持つ地球物理学的条件が他の土地と違うのかもしれない」と述べている。またブラジルのアリゴーとの比較から「フィリピンにだけ心霊手術師が多く出ているのは、守護霊が心霊手術を好むということが一つの理由になっている」とも述べる。

 

③.チャップマンの事例

ジョージ・チャップマン(1921→2006)は、1946年に英国空軍を除隊して消防士となった。1944年に結婚して1945年に長女が誕生したが1ケ月で死亡した。このことがきっかけとなって、自身の中にある心霊治療師としての才能に1946年頃に目覚めた。

ドイツ人の外科医師のウィリアム・ラング(1852→1937)は死後、生前に外科医師として身に付けた能力を活用したいと強く願っていた。そのラングの願いが霊界の上層において聞き入れられて治療霊団が結成され、霊医としての使命が申し付けられた。

チャップマンは目覚めた治療能力を使って、多くの不治の病に苦しむ人を救ってあげたいという願望があった(→この時点では生体エネルギーを使った治療なのでサイキック・ヒーラー)。このチャップマンの願望に引き付けられて(親和性の法則)、霊界のウィリアム・ラングとの間に霊的な絆ができた(ここからスピリチュアル・ヒーラーとなる)。

 

ラング霊の心霊手術は患者の中間物質の接合体に手術を施すことによって肉体を治すという方法をとっている。患者の肉体にできた病変に相当する部分の接合体を切除すると、やがて肉体の病変が改善されるという。肉体に腫瘍があれば接合体の同じ部位にも腫瘍があるので、それを切除すれば肉体の腫瘍も消えていく(G・チャップマン著『霊体手術の奇跡』潮文社1987年刊、参照』)。

 

④.アリゴーの事例

ブラジル・サンパウロから車で10時間余りの小さな田舎町、コンゴニャス・ド・カンポ(ミナス・ジェライス州)で生まれたジュゼ・ペドロ・デ・フレイタス(1918→1971)は、あだ名のアリゴー(田吾作という意味)という名で呼ばれていた。4年間だけ学校に通ったあと退学して、父の農場で手伝いをした。アリゴーは子供のころから霊体験があった。1950年頃アリゴーは近隣の鉱山の労働組合の委員長となって、過酷な労働環境の改善に取り組んでいたが、ストライキを指導したことを理由に解雇された。その後しばらくコンゴニャスで酒場を経営していたが、この時期アリゴーは夜毎の夢と頭痛に悩まされていた。

 

夢に出てくる人物はアドルフォ・フリッツ博士であると名乗った。フリッツはミュンヘンで生まれて、ポーランドで医学を学び1914年から1918年に死ぬまでの間、エストニアに住んでいた。「彼は非常に優秀な外科医だったのだが、何度かひどいミスを犯してしまった。そして死ぬ前に、死後も医術の腕を磨き続けて、生前の失敗を償うためにできるだけ多くの人に医療を施す、と誓ったのだという」。そのフリッツがなぜアリゴーを選んだか。フリッツによれば「自分は第一次大戦の最中に死んだのだが、アリゴーが仲間を大切にする男だということを良く知っているので、自分がやり残した仕事を遂行する代理人としてアリゴーを選んだと語った」。そしてアリゴーに「もしも心の平安が欲しのなら、病気に苦しんで、彼を必要としている人々に奉仕しなくてはならない」と述べた。

 

1963年8月22日アメリカ人医師ヘンリー・アンドリア・パハリックが見た診療風景(→翻訳者は“アンドリア・パハリック”と表記したが“アンドリア・プハリッチ”が一般的、スタンフォード研究所でユリ・ゲラーの超能力実験を行った超常現象研究家のこと)。

――アリゴーは病人と接する場合にはトランス状態に入り、ドイツ語なまりのポルトガル語で話す。アリゴーは列の先頭にいた年取った患者を部屋に入れて、長さ10センチほどのステンレス製の果物ナイフを手に取ると、男の左目の目蓋の下に突き刺し、眼窩の奥深くまで深々と差し込んだ。男は意識もちゃんとしているのにケロッとしている。それからアリゴーは眼球をこじって、眼窩の外へ抜き出したように見えた。アリゴーは果物ナイフを男の目から引き抜き、その先端に膿がちょっぴりついているのを満足げに見て、それを自分のシャッツで拭った。「お前は治る」と言って、それから次の患者を呼んだ。パハリックは最初の患者を呼びとめて、その目を医師の立場から調べたが、傷も充血も刺激症状もまったく見られなかった。アリゴーは夜中の1時まで“診療”を続けて患者全員(約200人)をみた。その際患者は、誰一人としてアリゴーにお金を支払う者はいなかったという――

 

◆出典:ジョン・G・フラー著「心霊外科医アリゴー」、『リーダーズダイジェスト』1975年4月号185頁~217頁参照。

 

<注2>

日本の心霊の世界では、病気の原因の多くが「先祖の因縁」や「邪霊の憑依」にあるとする考え方が依然として根強い。シルバーバーチの説く“三者間(霊、精神、肉体)の調和の乱れが肉体に病の症状として表れる”と考える者は少ない。

 

病気の原因を「先祖の因縁」とする考え方について、シルバーバーチが説く霊訓の立場に沿って考えて見るとどうなるか。この「先祖の因縁」で言われる先祖、例えば病気で亡くなった祖父を例にして考えて見る。

亡くなった祖父は肉体を棄ててきたにもかかわらず、「死の自覚」が持てないために物的波長から霊的波長への切り替えが出来ず、本人は未だに病気の観念を引きずっていることが考えられる。まず想定できる第一のケースとしては、その祖父と“愛情という磁気的回路”で結ばれた霊媒体質者の孫に、同様の病気の症状が表れるというケースが考えられる。次に想定できる第二のケースとしては、孫は出生するにあたり“再生テーマ(カルマの解消、新たな地上体験を積む)”の達成のため、最も適した“物的環境(国や民族、両親、体質や障害)”を選ぶ。その物的環境の一つとして“〇〇家”の一員(=両親を選んで)として生まれてきたことが考えられる(→自らのカルマ解消のために最も適した〇〇家を選択した)。

どちらのケースでも祖父が生前に作った因縁は、祖父自身が霊界で又は再生して自ら解消しなければならない。孫は再生に際して自らの因縁解消の為に最も適した“〇〇家”を選択しただけに過ぎない。「先祖の因縁」が孫に病気の症状となって表れたのではない。

 

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『シルバーバーチの霊訓』講座、講義用ノート:目次

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